みちしるべにしたい詩。

祝婚歌  
 著・吉野弘
 
二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい

 

 

吉野弘さんは、地元である埼玉県狭山市に住んでたことがある詩人。

出身中学の校歌の歌詞をつけた方でもあるんだ。

 

気取らなくて、あったかくて、こんな風に世界が見えてるひととは、お友達になりたいなぁって思うよ。

 

 

吉野弘詩集 (ハルキ文庫)

吉野弘詩集 (ハルキ文庫)